フィリピン留学ブログ

【徹底解説】フィリピン留学は危ない?誰もが気になる“治安”のお話

フィリピン留学を検討している人にとって、心配なポイントとして必ず上がってくるのは “治安”ではないでしょうか。

日本におけるフィリピン留学黎明期である2010年頃、フィリピン留学を検討していた留学生から「親に治安を理由に止められた」という話を度々耳にすることがありました。もちろん、当時の治安が悪かったわけではないのですが、日本人にとって東南アジアは治安が悪い所というイメージは根強いものです。

あれから10年以上が経ち、フィリピン留学は今ではアメリカやカナダ、オーストラリアに次ぐ4番目に日本人留学生が多い渡航先に成長しました。フィリピン留学は高校や大学、企業の語学研修に用いられたり、高校生の単身での留学が増えるなど、安全面も信頼され日本に定着したとも言えます。

しかし、それでもまだ治安に対する不安は払拭できたとは言えないでしょう。

  • フィリピンの犯罪発生率は日本の何倍もあると聞いた
  • 周囲の人からフィリピンに行くのを心配されている
  • ニュースで日本の犯罪者がフィリピンに潜伏していると言っていた

ついつい不安になってしまう話はまだ聞こえてきます。

この記事では、8年フィリピンに在住し、現地の治安を身を持って感じ取ってきたスタッフが、経験だけでなく、客観的なデータをもとに治安情勢を分析します。そして、フィリピンで気をつけるべき犯罪とその対策、また海外での防犯意識について徹底解説します!

1. 世界の都市別犯罪指数から見るフィリピンの治安

国際的に見て、フィリピン各都市の治安はどの程度のものなのでしょうか。

以下にある表は、世界最大のデータベース Numbeoの世界の都市別犯罪指数 (数値が大きいほど治安が悪い)から、日本人が多く訪れる都市のデータを抜粋したものです。このデータから読み取れる治安情勢を分析してみましょう。

国名都市名犯罪指数
南アフリカヨハネスブルグ80.71
ブラジルリオデジャネイロ77.59
ブラジルサンパウロ70.61
メキシコメキシコシティ68.20
フィリピンマニラ64.92
マレーシアクアラルンプール62.66
イタリアナポリ62.65
オーストラリアケアンズ62.49
アメリカサンフランシスコ61.36
フランスパリ57.06
イギリスロンドン53.91
アメリカシアトル53.80
イタリアローマ53.09
アメリカロサンゼルス52.70
フィリピンセブ51.44
アメリカニューヨーク49.50
オーストラリアゴールドコースト46.15
ドイツフランクフルト45.17
オーストラリアメルボルン43.97
フィリピンイロイロ41.91
カナダバンクーバー40.90
フィリピンマカティ38.57
オーストラリアシドニー34.35
日本大阪33.34
中国上海30.29
オランダアムステルダム29.13
フィリピンダバオ27.51
日本東京24.04
出典:世界最大のデータベース Numbeo(2023年中期)

1-1. 日本ほど安全な国はない

私たちが住む日本は、世界的に見ても抜群に治安が良い国です。一般論としては首都のような大都市は治安が悪いものですが、それでも東京の犯罪指数は24.04で世界的にトップクラスの治安の良さを誇っています。日本国内では治安が悪いと言われがちな大阪であっても33.34と下から数えたほうが早く、いかに安全な国で生活しているかがお分かり頂けるかと思います。

海外では日本の治安の良さは以下のようなエピソードによって説得力を持って語られています。

  • 荷物から目を離しても盗まれることがない
  • 財布を落としても返ってくることがある
  • 女性が一人で夜道を歩いていても犯罪に巻き込まれることは滅多にない
  • 子供たちだけで登下校している
  • 99%以上の警察官は一生の内で一度も拳銃を撃つことがない (訓練を除く)

このような世界に誇る日本の治安水準をもとに、治安の良い悪いを考えてしまうと、世界中のほとんどの国が「治安が悪い」と感じてしまいます。つまり日本人にとって海外に行くことは治安への不安がつきまとう行為なわけです。

1-2. フィリピンの治安は国際的に見ても悪いわけではない

犯罪指数から見るセブの治安

フィリピン留学で一番人気が高いセブの治安を国際比較で見てみましょう。

イギリスロンドン53.91
アメリカロサンゼルス52.70
フィリピンセブ51.44
アメリカニューヨーク49.50

セブの犯罪指数はロンドンやロサンゼルス、ニューヨークと大差がありません。これらの都市は日本人の観光客や留学生が多く訪れており、日本人にとって安全上抵抗感がない訪問先と言えます。つまり、これらの都市と同水準の犯罪指数であるセブに不安を感じてしまうのは主観的なイメージ以外の何物でもありません。

犯罪指数から見るイロイロの治安

フィリピン留学において、イロイロは安全面の評価も高いのどかな地方都市として位置づけられていますが、治安を国際比較で見ていきましょう。

オーストラリアメルボルン43.97
フィリピンイロイロ41.91
カナダバンクーバー40.90

イロイロの犯罪指数はオーストラリアのメルボルンとカナダのバンクーバーとほぼ同等水準にあります。メルボルンとバンクーバーは欧米留学・ワーキングホリデーで定番の教育都市として古くから人気があり「治安が良い街」として紹介されているほどで、治安面で心配する人はほぼいないことでしょう。イロイロはかなり治安面で良好と言うことができ、やはりのどかな地方都市は治安面でも有利です。同様の地方都市であるバコロドやバギオも同じことが言えるでしょう。

犯罪指数から見る首都マニラの治安

首都マニラですが、大都会の負の側面を抱え込んだネガティブなイメージがありますが実際はどの程度の治安情勢と評価できるのでしょうか。

フィリピンマニラ64.92
マレーシアクアラルンプール62.66
イタリアナポリ62.65
フィリピンマカティ38.57

やや高い数値に不安を覚えるかもしれません。ただし、これは17の自治体からなるマニラ首都圏全体の数値ではなく、マニラ市単独のデータになります。実は極めて治安が良いマカティ市もマニラ首都圏に属しており、マニラ市の隣に位置しています。つまり、ダウンタウンや港湾エリアを抱えるマニラ市の治安は低い評価にならざるを得ないが、再開発が進み高層ビル群が目立つマカティ市は治安が極めて良好ということになります。このようにマニラと一括りに言っても地域で治安情勢に大きな差があることが分かります。

客観的な指標をもとにすると、フィリピン留学は欧米留学と比較して、治安に大きな不安を抱く合理的な理由がないことが分かります。実際フィリピン留学よりも治安で劣る欧米の都市も存在していますが、それらは古くから日本人観光客や留学生が多く訪れている都市も含まれています。しかし、特に不安感を持って訪れているという話は聞いたことがありません。つまり、治安が良い悪いは、いかにその国のイメージによって作られているものかというのがお分かり頂けるでしょう。

1-3. フィリピンの治安は近年さらに良くなっている

その過激な言動から日本でも話題になったフィリピンの前大統領であるドゥテルテ氏は、在任中 (2016~2022年)に強引とも言われる治安対策に力を入れました。さらに経済発展が著しい国のため、国民所得が右肩上がりに向上しています。これらの事情により、犯罪件数は減少傾向になっていると分析されています。

なお、このドゥテルテ前大統領がダバオ市長だった際にも治安対策に力を入れましたが、前述の表のダバオの犯罪指数を見るとその成果がよく分かります。ほとんど東京と変わらない水準にまで治安が良くなったのは驚き以外の何者でもありません。

日本の社会は成熟しており、10年前も20年前もそう大きな変化はありません。一方フィリピンのような開発途上国は短い期間で社会情勢が目まぐるしく変化し発展していきます。そのため、多くの日本人が抱くフィリピンへの認識は、もはや古くなりつつあり、近い未来には全く現実と異なるものになってしまうのかもしれません。

ドゥテルテ政権発足以降、3年連続で犯罪件数が減少(フィリピン) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ
ジェトロ
フィリピンの治安が改善傾向、背景に所得向上 数字で読むASIA – 日本経済新聞

フィリピン国家警察が発表した2022年1~11月の犯罪件数は前年同期比2.7%減の3万4050件だっ…

フィリピン国家警察が発表した2022年1~11月の犯罪件数は前年同期比2.7%減の3万4050件だった。傷害や殺人の件数、車の盗難件数も減った。前政権のような超法規的な麻薬取り締まりなどを通じた犯罪対…

日本経済新聞

2. フィリピン留学で注意すべき犯罪とその対策

国際的に比較を行うと、欧米の有名都市と比べてもフィリピン留学で訪れる都市の治安は特に悪いわけではないことがお分かり頂けたかと思います。しかし、日本ほど治安が良い国でないのは事実です。そのため、日本と同じような振る舞いをしていては、犯罪者にターゲットにされるリスクがあることは肝に銘じていなければなりません。

ここでは、フィリピンの治安情勢から注意すべき犯罪とその対策について、しっかり知っておきましょう。どれも、海外では当たり前とされているもので、特別なものは何一つありません。

2-1. スリ

鞄や後ろポケットから財布やスマホを抜き取られるというものです。簡単に手を入れられるところに貴重品を持っていると危険です。特に治安があまりよくないとされるダウンタウンの人混みなどに出かける時は要注意です。

  • ファスナーが付いた鞄を使う (一番外側の収納に貴重品を入れない)
  • 後ろポケットに貴重品を入れない
  • 人が周りにいるような状況では鞄を前に持つ

2-2. 置き引き

フィリピン留学で訪れる学生が一番注意すべき犯罪です。荷物を置いてトイレなどに行き、帰ってくると無くなっているというものです。これはショッピングモールのフードコートなど治安が悪いとは言えない場所でも起こりうるため注意してください。

  • 荷物を視界の外に置かない
  • 席を確保するために財布やスマホ、鞄を置いていかない
  • 席を離れる際は友達に荷物を見張ってもらうように頼む(警備員などその場にいる従業員にチップを渡し頼むのも手)

2-3. ひったくり

スリ、置き引きに比べると稀ですが、鞄やスマホ、アクセサリーをひったくられるという被害も起きています。治安があまりよいとされない地域ではより注意を払ってください。

  • 鞄は手に持つものでなく、たすき掛けできる物など簡単に奪われないものを使う
  • 道を歩く時には鞄を前に持つ
  • 街角で周囲を警戒せずスマホを使わない
  • 出歩く時は貴金属は身につけない

2-4. 詐欺

世界各地でいまだ根強く起こっているトランプ詐欺ですが、フィリピン留学で訪れた学生の被害が稀に報告されています。この詐欺は、一人でショッピングモールなどにいる時に、親しげに話しかけてきて意気投合した後に家に連れて行かれます。その後、賭けトランプに参加させられ、所持金を失う被害に遭うというものです。

  • 知らない人についていかない(レストランの店員などならまだしも、素性がまったく分からない人に親しげに話しかけられても絶対に気を許さない)
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“トランプ詐欺”という言葉を聞いたことはありますか?フィリピンの治安について調べていると、必ず注意が呼びかけられている犯罪です。海外には観光客や留学生などの外国人を狙った詐欺を生業にしている…

2-5. ストリートチルドレン

ローカルな場所に行くと、道端にホームレスの子供たちを見かけます。基本的には危害を加えてくることはありませんが、「お金をくれ」と声をかけてくることがあります。ただし、一人に何かをあげると数人が近寄ってきて、鞄やポケットに手を入れられて所持品を盗まれるという被害がもあり治安面でも注意すべき存在です。

  • 相手にせず、しつこい場合は歩いてその場を離れる
  • 数人に囲まれたら、所持品をかばって駆け足でその場を離れる (彼らは追っては来ない)

2-6. 薬物

世界中どこでもナイトクラブなどはあまり治安の良い場所とは言えず、フィリピンでも大麻や覚醒剤が入手できる場所と言われています。これらはフィリピンにおいても重罪で、極めて力を入れて取り締まりが行われており刑罰も厳しいです。

  • 興味本位で絶対に手を出さない

2-7. その他の治安関連で注意したいこと

殺人事件はお金や女性問題に起因する強い怨恨が原因であることがほとんどで、短期間しか滞在しない留学生にとって被害に遭うリスクは極めて低い犯罪です。ただし、トラブルから喧嘩になり暴力沙汰に発展することは起こりえるため、振る舞いには注意してください。

3. 治安上、注意すべき振る舞い

犯罪を呼び寄せるような振る舞いをしないことは重要です。これは、仮に治安が悪い場所にいたとしても、自分だけは狙われにくい振る舞いをするということです。

3-1. 露出が多い服装、派手な服装をしない

ノースリーブやホットパンツなど肌を多く露出する服装は避けましょう。またお金を持っていそうに見える派手な服装や貴金属を身につけるのも避けた方がよいでしょう。

フィリピン留学中、ほとんどの学生はカジュアルな服装で生活しており、おしゃれに力を入れなくても大丈夫です。

3-2. 夜道を一人で歩く (昼夜で治安は変わる)

夜遅い時間に一人で道を歩くのはやめましょう。沿道に人が大勢いる場所であればまだよいですが、人通りがない路地を歩くのは避け、短い距離でもタクシーを使うようにしましょう。特に昼間は治安上問題がない通りでも、夜遅くになり人通りがなくなると治安面で不安が残ります。

3-3. 外国人が立ち入らない場所に行く

あなたの家の前に、外国人が物珍しい顔をして、じろじろ見たり勝手に写真を撮っていたらどう思うでしょうか?不愉快に感じたり恐怖を覚えるのは間違いないことでしょう。興味本位で外国人が出入りしないような地域に出かけ、許可も取らずに写真を撮ったりするのは避けてください。

また社会勉強と称してスラムなどに安易に立ち入ることもやめるべきです。ボランティア団体は、安全に活動するためにスラムの人たちと普段から良好な関係を構築しています。スラムは貧困と合わせて治安面でも問題を抱えている地域ですので、留学生だけで訪れるべき場所ではありません。

3-4. トラブルの際に怒鳴るなど感情任せに行動する

大声で怒鳴られたり威嚇されたら、誰でも怒りや恐怖が大きくなるものです。さらに言葉が通じない外国人相手となると、なおさらです。トラブル発生時に感情任せに攻撃的な態度を取れば、相手は暴力に訴えてくる可能性があります。特にフィリピンは銃の所持が可能な社会のため、相手を刺激することはリスクの大きい行為だと自覚してください。

また、大衆の面前で大声で叱責する行為は、フィリピンでは極めて印象が悪い振る舞いのため、警察沙汰になった場合も不利な立場に置かれることになります。

3-5. はっきりNo !と言う

仲良くなった男性と出かけて、男性が迫ってきたら…。はっきりと「No !」と言うべきです。これはフィリピンに限らず海外留学でよく起こるケースなのですが、日本人は相手の気分を害さないように気を使って笑いながら「No! No!」と言ってしまい、この態度では相手に真剣に受け取ってもらえないことがあります。

3-6. 強盗に遭っても抵抗しない

起こる可能性は低い犯罪ですが、治安を語る上で対処法は必ず知っておくべき話です。海外でひったくりや強盗に遭った際に、抵抗を試みたり、犯人を取り押さえようとすることは絶対にやめるべきです。これはフィリピンに限った話ではありません。

強盗事件では、最初から犯人は危害を加えるつもりがない場合が多いとされており、犯人の本音は物を盗んだらさっさと逃げたいわけです。しかし、被害者の反撃により、逃走が邪魔されたり、犯人側が身に危険を感じることによって危害を加える行為に及ぶことになります。

特に腕力に自信がある男性の方は「相手は小柄だから勝てるだろう」など考えないでください。強盗犯に抵抗を試みた結果、隠し持っていた拳銃や刃物で攻撃されたり、近くで待機していた共犯者が加勢してくるというのは、海外では先進国・途上国問わずよく聞く話です。

数年前に南米を旅行中の日本人大学生が殺害されるという痛ましい事件がありましたが、奪われた携帯電話を取り返そうと追いかけた末に被害に遭われています。金品を奪われることは不愉快極まりない出来事ですが、命を最優先に考えるようにしてください。

4. 常識的な行動を忠実に守ること

前述の「注意すべき犯罪への対策」「注意すべき振る舞い」は、海外では必ず守るべき常識的な行動です。しかも、これらはどれも決して難しいことではありません。そのため、これらを忠実に守っていれば、犯罪被害に遭うことはまずありません。

現地で日本領事館と各語学学校が連携して留学生の安全性向上に尽力されている“セブ留学生活安全対策会議”では、現地の具体的な治安情報を取りまとめて共有しています。その情報によると数は多くはありませんが、犯罪被害に遭う日本人留学生がいるのは事実です。

これまで日本人留学生が被害に遭ったケースを見てみると、被害者の方には大変心苦しいですが、どれも海外での振る舞いに問題があるケースがほとんどなのです。夜道を一人で歩いていたり、知らない人について行ったり、お酒を飲んで気が大きくなり喧嘩したり…。どれも常識的な行動をしていれば身に降りかかることはなかった犯罪被害ばかりです。

ここ数年、高校生年代ですらお一人でフィリピン留学される方が増えています。みなさん海外で守るべき常識的な行動を忠実に守っているため、危険な目に遭うこともなく楽しい思い出を作って帰国されています。

しかし、中途半端に海外慣れしている人を中心に、学校の注意も聞かずに「これまで無事だったから」と高を括った行動をされているのを目にします。これまで安全だったことと、これからも安全であることはまったくの別です。日本に比べて治安が悪いことは間違いのですから、一度気を引き締めて、海外での常識的な行動を心がけるようにして欲しいものです。


フィリピンの治安について、いかがだったでしょうか。

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